ピアニストのためのチェンバロレッスン 2019年4月スタート

 

 

ALT.NEU Baroque music course

ピアニストの為のチェンバロ演奏テクニック

Harpsichord playing technique for Pianist 2019

■コンセプト

 

バッハやスカルラッティの時代は、ピアノではなく、チェンバロが演奏されていました。現在はそういったバロック時代の作品も、チェンバロよりピアノで演奏される機会の方が圧倒的に多いかと思われます。

同時に、ピアノでバッハなどを演奏するにあたって、演奏法に戸惑いを持たれている方の声も聞きます。そんな時、傍らにあったピアノで、その曲のほんの一部を弾いてみると「なんだかイメージが変わりました」と、喜んでいただけることも多く、驚かされます。

チェンバロの時代の作品ということで、楽器の特性(本来の音色や演奏表現の可能性)に対する誤解は、チェンバロ音楽を正しくイメージしていくことを困難なものにするのは確かです。

 

バロックの作品をピアノで演奏する際には、チェンバロの響きを知っておくことは、必須です。何故ならチェンバロだからこそ表現できる音楽的魅力は沢山あるからです。

ただ、いつもピアノを弾いている方が、チェンバロを弾く機会を得たとして、この楽器の響きの魅力を体感し、存分に楽しんでいただけるまで演奏技術を身につけるには、かなりの時間を要するところがあるかと思います。

 

このレッスンでは、チェンバリストがチェンバロを奏でて、受講生の方々に間近で聴いていただきます。続いてピアノでも、同じ曲をそのまま弾き、聴いていただきます。

  演奏する楽器は何であれ、脳裏に流れる音楽は変わりません。

音色のイメージを持っていただき、それをご自身の演奏に生かしていただければ、とても魅力的な音楽になると思います。

そして次第に、バロック音楽に接する時の気負いや距離感が取り払われ、もっともっと楽しく感覚的に、耳やイメージが、自然とピアノ演奏を助けてくれます。

 

私自身、バッハやラモーなどをピアノで弾いてみる時、頭の中にあふれ出る音のイメージや色彩感、響きのイメージによって、無意識にペダルも使いながら、音色も選んでいます。

チェンバロにはペダルはないため、音を残すためには指を離すことはできません。しかしピアノとは異なり楽器本体の箱の中を巡る音の共振や余韻は、オルガンを思わせる様な音色やレガートさを生みます。

ピアノにおいてペダルは、一つ一つの音に、チェンバロの弦から放たれた音に、香りや余韻をつけるために、使用します。

改めて考えてみると、楽譜にペダル記号を記すのが難しいくらい、あいまいで繊細なことですが、音色のイメージを持って、感覚で音を出す。楽しい作業です。

 

残念なことに、チェンバロに関しては、金属的な音色で、「音の減衰が早い楽器」という誤解が多いようです。そのためかピアノでは、ブツブツ・はっきりとしたノン・レガートな演奏だったり、異様に高速な演奏に出会うことも少なくありません。

確かにこれらは、チェンバロの音(良いチェンバロの音)のイメージが頭の中になければ、仕方ないことだと思います。そして過去の偉人がそのようなイメージで“名演奏”を残していれば、私たちも、伝統的にそれらの影響を受けるのは、当然とも言えるでしょう。

 

まずは自分の耳で、間近で、チェンバロの弦から解き放たれていく音の光・香り・迫力を直接感じてみてください。

音のイメージを明確に持って、ピアノに向かったら、装飾音やペダルも難しく考えることはなく、もっと自由にバロック音楽を楽しめるのではないかなと思います。そうしておのずと、テンポ感や音楽の色彩感も、変わってくるのではないでしょうか。

 

レッスン会場には、チェンバロ、モダン・ピアノだけでなく、この両者の中間的な楽器「ピアニーノ」(ショパンが愛したアップライト・ピアノとしても有名)もあります。それぞれの楽器の持つ魅力的な音に接することができるのも、得難く魅力的なひとときです。

 

美しい音色に囲まれ、和気あいあいと、音楽を楽しめることができたらと思います 。

 

 

                                                                                                 大木和音

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